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 伊藤さん,ISM研究会の皆さん,今井です。

 いや難しいですね。ようやく解ったつもりがまたまた解らなくなりました。

>もう一つの理由は、WさんとJちゃんの「親子関係証明」の裁判のためです。

 ふーむ。病院での赤子を取り違えた場合などには,認知の訴えではなく母子
関係存在確認の訴えによらなければならないそうですが,父子関係についても
同様な存在確認の訴えがあるのですか。この裁判は,民法上の問題ではなく,
母親の滞在許可に必要である(つまり入管法上の問題)のですよね? 一応,
以下では,そのような前提で考え直してみました。お手数ですが,問題点をハ
ッキリさせるためにも,間違いがあったらまた訂正していただけないでしょう
か。

>本来は、戸籍上の父との親子
>関係不存在を証明する裁判後、実父の「親子関係証明」の裁判をしなければならない
>のです。ですから、このケースも実際に最初の裁判で両方が証明されても、手続き上
>わざわざもう一度「親子関係証明」の裁判をするのです。無意味でもやらなきゃいけ
>ないそうです。

 ははぁ,これはややこしいですね。ちょっと調べてみましたが,(1)親子関
係不存在確認の訴えが通った時点で,その子供は以前の父親の戸籍から(しか
も出生に遡って)離脱する(1969年福岡家裁);そして(2)日本人の“実父”
による認知があれば,その子の母親には定住が許可される(法務省通達)。
──この二つの点から考えると,このケースでは,前夫KさんとJちゃんとの親
子関係不存在確認の訴えが通ったとしても,実父Wさんには任意認知はできる
が,しかし,DNA鑑定によってKさんが“実父”であることを証明しない限りで
は,この任意認知は母親の定住許可にとって有効ではない(あるいは,任意認
知だけでは不十分である)──ということなのでしょうか?

 なんでこんな疑問をもつかと言うと,「嫡出でない子は、その父又は母がこ
れを認知することができる」(民法第779条の任意認知の規定)ということを
鑑みると,まさか任意認知ができないということはないはずだ;そして認知そ
のものにおいてはDNA鑑定というのは強制認知の場合に必要なものであって,
しかるに任意認知の場合には不用なものである──と思ったからのですが…。
違うのでしょうか?

 いずれにせよ,確かに,こんな裁判は「無意味」ですよね。その費用は,結
局のところ,国民の税金で賄われるわけだし。

>裁判は母親の居住地ではなく、父親の本籍地でしな
>ければならない

 因みに,胎児認知の場合には,母親の本籍地で認知届けを提出しなければな
らない──母親の居住地でも父親の居住地でもダメ──のですよね(戸籍法第
61条)。あぁ,馬鹿馬鹿しい。